まちが舞台の観光・交流プログラム -博多情緒めぐりキャンペーン-

「まち歩き」を導入することで、回遊性向上を実現

福岡市の天神・大名地区が商業施設を中心としてまちづくりを活性化させているのに対して、博多地区は歴史・文化という観光資源を有しながら、有効活用できていなかった。 過去にも、歴史・文化を利用したイベント企画の実施を試みたが、回遊性に乏しく、賑わいが一部に留まるという状況であった。 今回は、「まち歩き」というプログラムを導入することで、回遊性向上を実現した。

徹底的なヒアリング

歴史や伝統文化を観光資源として十分活用できておらず、地元の人々でさえ、その存在を知らない観光資源が多く存在しているという状況であった。 その理由として、このような観光資源をマネジメントしていく組織がないため、観光資源として認知されていないものが多く見られた。 そこで、「博多部まちめぐりサポーター」を募集し、組織化した。

  • 観光トレンドセミナー実施
  • 長崎さるく博勉強会実施
  • 博多地区観光資源調査

バリュー・クリエイター佐藤の視点 まちづくりの一環としてイベント企画を実施する場合、既存の組織を有効活用しがちだが、基本的には、新組織を立ち上げる方がうまくいくケースが多い。その理由は、既存組織は既成概念に囚われてしまい、新たなことに対するチャレンジ精神に欠けることが多いため。 今回は、それを回避するため新組織を立ち上げた。

ノウハウをフルに活かしプランニング

博多は2000年の歴史があるが、京都などのように現存している地域資源に乏しいため、「博多部まちめぐりサポーター」の中から「博多部まち歩きガイド」を募り、エンターテイメント性の高いガイド育成を実施した。ガイド育成の過程において、案内箇所の選定からコース作成を1年かけて作り込み、まち歩きイベント「博多情緒めぐり」が完成した。

バリュー・クリエイター佐藤の視点 全国で盛んにボランティアガイドによる「まち歩き」が実施されているが、今回はガイドの知識以上に「お客さまを楽しませる」というエンターテイメント性を重視した。お金をいただく「まち歩き」にはボランティアではなくプロフェッショナルが求められる。

120%の力で実行→検証→リプラン

初年度の「博多情緒めぐり」イベントは好評を呼び、次年度以降7年間にわたって毎年実施されている。事業の立ち上げから3ヵ年の間に作り上げた体制は現在、「福岡市観光案内ボランティア協会」に引き継がれ、毎年内容をブラッシュアップさせながら、博多における秋の風物詩として定着した。

バリュー・クリエイター佐藤の視点 まちづくりを目的としたイベント企画は1回目の成功よりも、継続させることが重要で、継続させるための仕組みづくりを並行して考えていかないと、単なる一過性のイベント企画で終わるケースが多い。 継続させる仕組みづくりの中心となるのが、組織づくりと人材育成であり、これこそが、「まちづくり=人づくり」といわれる所以である。

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